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不動産鑑定８月号

「住宅新報社発行「不動産鑑定」８月号より転載」

建築形態規制ソフト活用のポイント
第３回　ＣＡＤ（建築形態規制）ソフトによる共同住宅のプランニング①

財団法人　日本不動産研究所ＣＡＤ活用プロジェクトチーム　岩指良和・福山雄次

前回述べたように、ボリュームチェックだけでは容積率が実際に消化できるかどうかわかりません。事務所の場合、形態に影響を及ぼす単体規定はそれほど厳しいものではなく、形態規制の許す範囲で敷地一杯に建築することも可能です。しかし、共同住宅の場合は様々な形態規制や間取り等により建物の形状が制限されます。また共用廊下等の容積率不算入措置がありますので、容積率を消化できるかどうかは実際に建物プランを行ってみなければわからない場合がほとんどです。
そこで、今回はＣＡＤを利用した共同住宅プランニングの基本的な流れについて具体的に説明します。

１．共同住宅プランニングにおけるＣＡＤの活用

最有効使用建物の想定においては、公法上の規制等の法的なアプローチと市場性・収益性等の経済的なアプローチの両側面から検討を行うものですが、昨今のような経済情勢下においては、建物ボリュームの差すなわち収益性の差が不動産の価格に大きく影響します。そのため、両アプローチは従来以上に重要視され、精度を求められるようになってきています。
　特に共同住宅では多くの場合、敷地が住宅系の用途地域に立地するため日影規制を受け、また様々な形態規制等により形状も制限されることから綿密な建物想定が必要とされます。そこで、共同住宅の想定においては、ＣＡＤを活用するか否かが重要となってきます。
　鑑定評価において建物プランの想定は、①対象地にかかる公法上の規制を調査し、②地域の標準的使用を考慮しながら大まかな階層・階高や用途を決定、③日影規制を受ける地域か否か、及び④最有効使用の建物が日影規制の対象となるか否かの２段階のチェックを行い、a各種斜線制限のみを考慮した処理か、ｂ斜線制限の他に日影規制をも考慮した処理かに分けます。このa.b.２つの処理にＣＡＤを活用すれば作業効率が高まります。そして建築基準法はもちろん各種条例や住戸タイプ等を考慮して最有効使用の建物をプランニングします。また、ここでもTP-PLANNER※１を活用することにより作業効率・精度は高まります。
　なお、ＣＡＤを活用した最有効使用建物想定のイメージを示すと以下のとおりです。