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２．対象地（傾斜地）と隣接地・道路との関係
傾斜地の地盤面は、敷地の高低差と建物の位置によって把握できることから、ほとんどの
場合、対象地の地盤面と隣接地または道路との間に高低差が生じることとなります。
したがって、次に留意すべきポイントは、対象地の地盤面と隣接地または道路との高低差の
関係を把握することです。日影規制、斜線規制にはこの高低差の関係で緩和される規定が
ありますので、対象地の敷地の高低差を把握するほかに、隣接地または道路との高低差も
把握しなければなりません。
（１）隣接地または道路の高低差による緩和規定
日影規制、斜線規制（隣地斜線、北側斜線、道路斜線）には、対象地の地盤面と隣接地
または道路との高低差により以下のような緩和規定があります。
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日影規制 ⇒ 対象地が隣接地より低い場合に緩和あり
日影規制では、対象地の地盤面が隣接地の地盤面より１ｍ以上低い場合には緩和
されることとなります（図３・４参照）。
・対象地の地盤面(Ｎ)が隣接地より１ｍ以上低い場合
＝ （Ｎ−１）／２ｍだけ地盤面が高い位置にあるものとして緩和
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隣地斜線，北側斜線 ⇒ 対象地が隣接地より低い場合に緩和あり
隣地斜線、北側斜線では、対象地の地盤面が隣接地の地盤面より１ｍ以上低い
場合には緩和されることとなります（図５参照）。
・対象地の地盤面(Ｎ)が隣接地より１ｍ以上低い場合
＝ （Ｎ−１）／２ｍだけ地盤面が高い位置にあるものとして緩和
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道路斜線 ⇒ 対象地が道路面より高い場合に緩和あり
道路斜線では、対象地の地盤面が道路面より１ｍ以上高い場合には緩和されること
となります（図６参照）。
・対象地の地盤面(Ｎ)が道路面より１ｍ以上高い場合
＝ （Ｎ−１）／２ｍだけ道路面が高い位置にあるものとして緩和
（２）隣接地が傾斜地である場合
隣接地が傾斜地である場合、地盤面はどのように把握するのでしょうか。高低差をどの
ように把握したらよいのでしょうか。
この場合は、隣接地についても対象地そのものが傾斜している場合と同様に平均
地盤面を算出し、隣接地に建築物がない場合は平均地表面とするといった解釈も建築
主事によってはあるようですが、各地方自治体の建築主事の判断を事前に確認しておく
ことが必要といえます。いずれにせよ、緩和の対象となる高低差のある傾斜した複数の
隣接地がある場合、日影規制の受影面が複数存在することになりますし、斜線規制の
基準となる地盤面も複数存在することに留意する必要があります。
なお、接面する道路が坂道等の高低差がある場合での道路斜線については、あくまで
基準となるのは道路の中心ですので、各道路面の高さにより斜線規制がかかることに
なります。隣地斜線のように基準が地盤面である場合、地盤面＝水平面ですので「平均
の高さ」という概念がでてきますが、道路斜線において基準となる道路面についてはこの
概念がないということを改めて認識しておくことも必要です。
このように隣接地や道路との高低差の関係で様々な緩和規定がありますので、こうした周辺
の高低差の情報を正確に把握しないと、建築形態規制のチェックを行う時点で建築可能なボリ
ュームを誤って把握することになります。これは対象地が平坦地であっても同様に留意すべき
ことですが、特に傾斜地の場合は注意が必要です。
３．次回のテーマ
傾斜地については、敷地の高低差や隣接地、道路との高低差、さらに建築物の位置により
基準となる地盤面が変わってくるため、複雑な作業を伴います。ただし、こういった作業もCAD
ソフトを使うことで、より正確にまた効率的に結果を導くことができます。
そこで次回は、TP-PLANNERを使用して、傾斜地に共同住宅を想定する一連の流れを今回の
留意点に重点を置きながら説明します。 |
